定価:1,121円(税込)
整理番号:タ-1-4
刊行日: 1995/08/07
欧米に追いつこうと急拵えした近代日本。いまだ重くのしかかる“家”。その歪みの中で個人はその位置をどう見出せばいいのか―この明治以来の大問題を日本人以上に鋭く、根源的に突きつけられたのは、「在日」朝鮮人、とりわけその二世、三世たちである。日本の戦後的な生の様式の中で、彼らの存在がはらんでいる現在的な意味を、李恢成、金石範、金鶴泳らの作品から摘出し、新たな可能性の地平へと解きひらく。
「在日」という根拠―李恢成、金石範、金鶴泳
苦しみの由来
沈みゆくものの光景
「在日」ということ
三つの名前について
「在日」文学にみる「民族」の今―『流域へ』と「ほんとうの夏」
主観としての普通、客観としての在日―姜信子『ごく普通の在日韓国人』〔ほか〕
定価:1,275円(税込)
整理番号:ウ-4-1
刊行日: 1995/08/07
「書くこと」と「生きること」とが独自の緊密な統一体を作っているカフカの文学。それゆえに、作品を読むことが、必然的にカフカの生の探究へと私たちを誘うのだろう。幼年・青年時代に決定的な影響をあたえた「父親」の意味、対父親関係の延長としての外界との関係、プラハという独特な都市の環境、とりわけ、公用語でありながらその貧しさを露呈するプラハ・ドイツ語の位置づけ、カフカにとって1912年という年のもつ決定的な意義…親友マックス・ブロートの手になる唯一の伝記の空白を埋め、渉猟の限りを尽くしてカフカ文学の原郷に迫る。
幼年時代、両親の家、小学校
高等学校(1893―1901年)
世紀の転換期のプラハ
大学と司法修習生時代(1901―1907年)
就職した初めの数年(1907―1912年)
定価:1,529円(税込)
整理番号:ケ-1-1
刊行日: 1995/06/07
あらゆる生物、そして人間とその社会の現象は、上位のレベルから見れば「部分」であり、同時に下位のレベルに対しては「全体」であるという両面性をもっている。ケストラーは、これを『ホロン』と命名した。さて人間に目をやると、さまざまなレベルの『ホロン』からなる階層秩序が不安定で、欠陥を伴っているのはなぜだろうか。それは進化によるものではないのか。こうして、すべてを部分に還元する正統進化論の還元主義ではとらえられない、人間の創造性と病理が根源から解き明かされる。心理学、生物学、進化論のほか、人文・自然科学の豊富な知見をふまえた、現代の危機の診断書。
第1部 秩序(心理学の貧困
単語の鎖と言語の木
ホロン ほか)
第2部 生成(胚の戦略
進化―主題と変奏 ほか)
第3部 無秩序(人類の苦境
三つの脳
ユニークな種 ほか)
定価:1,427円(税込)
整理番号:ユ-2-1
刊行日: 1995/05/08
近代日本を代表する哲学者として『古寺巡礼』『風土』『倫理学』などを著した和辻哲郎。その生涯と思想形成を描く。日本国家と運命をともにした和辻は、文化創造こそ世界史における日本の使命だと説く。彼は日本の思想伝統をどうとらえたのか。その文化的ナショナリズムは政治状況とどう向かい合ったのか。その哲学の可能性と問題点はいったい何か。晩年の和辻哲郎に師事した著者が、その思想の全貌を時代のコンテクストを交えながら、共感と批判の眼をもって描く本格的評伝。
序 回想の和辻哲郎
1 村の子の孤独
2 あれかこれか―美と倫理の間に
3 日本回帰の道
4 アカデミズムの異端
5 ヨーロッパの旅
6 マルクス主義とナショナリズム
7 戦争と文化
8 天皇制論争
9 太平洋戦争とは何か
10 和辻倫理学
11 日本思想史における近代
結び 晩年
定価:882円(税込)
整理番号:オ-9-1
刊行日: 1995/05/08
何を、いかに書いたらいいのか。読み、書き、考えるとはどのようなことなのか。ことばを選ぶ、構成を考える、文章を練るといった肝心なことに、なぜ意識的になれないのか―長年の、大学生や社会人のための文章講座の経験から得られた何万もの豊富な文例から問題点を抽出、原稿用紙の使い方から始まる具体的でしかもわかりやすい説明で、潜在している表現力を開花させる。気品と節度をもった文章が書けるようになる、文章マニュアルの決定版。
1 文章の基本
2 文章の三本の柱
3 原稿用紙の書き方
4 原稿を書くための留意点
5 文章の形態
6 文章表現の要点
7 文章作成の実例
例.「宮沢賢治」→「宮沢」
叢書ウニベルシタス、講談社学術文庫、中公文庫、岩波文庫、ちくま文庫、みすず書房、哲学、思想、人文科学、芸術、美術、算法少女、復刊、悲劇、古本、イーブックオフ、古本市場...