定価:968円(税込)
整理番号:コ-9-1
刊行日: 1996/10/09
織田信長に仕え、『信長記』を残した太田牛一。その牛一が晩年、豊臣秀吉についても記録を残そうとした。それが『大かうさまぐんき』である。しかしこれは、秀吉の栄耀栄華の事績ではなく、甥秀次謀反の事件から説き起こされる。後継者に任じられながら、秀頼誕生ののち謀反の廉で処刑された秀次の悲劇―太閤秀吉晩年の汚点。秀次謀反の真偽のほどは?秀次のひととなりは?激動の戦国時代を辛くも生き抜いた老武者・牛一の、内面の苦悩が『大かうさまぐんき』の行間に表われていないか。室町ごころと国語史学・文章心理学からのアプローチによって、秀次の悲劇の真実に迫る。
1 『大かうさまぐんき』の翻刻(本書関連部分)
2 秀次事件を読む―『大かうさまぐんき』私注
3 『大かうさまぐんき』の今後の流れ
定価:1,173円(税込)
整理番号:コ-8-1
刊行日: 1996/10/09
子ども―この不器用で不可解、そして共にいきるいとおしい者たち。そんな彼らの存在について、大人との関係から考察してみよう。村瀬学、フロイト、エリクソン、アリエスなど、子ども論における業績を吟味し、また、自らの育児体験をふまえ、子どもの心性や心理を丹念にたどりながら、「子ども」というコードを読み解き、さらにエロス・労働・家族から死にいたるまでの総合的な人間論的視野をもつ力作評論。
第1章 絵本がさし示すもの
第2章 子どもはどのように了解されているか
第3章 エロス的存在としての人間
第4章 子ども期はどのように区分されるべきか
第5章 存在論的サンタクロース論
第6章 労働と子ども
第7章 養育の現象学
定価:1,275円(税込)
整理番号:コ-6-1
刊行日: 1996/06/10
1492年、コロンブスが新大陸に第一歩をしるした年、カトリック・スペインは、800年間存続していたイスラム勢力を一掃するとともに、ユダヤ人の追放をも決定した。追放か改宗か。地中海を東へさまよう者、ポルトガルへ逃れる者。しかし、多数のユダヤ人は、みずから改宗の道を選ぶ。彼らは、「マラーノ」(豚)と蔑まれながら、異端審問の恐怖におびえ、迫害に耐えていった。そもそも固有の領土をもたないユダヤ人が、自己をも否認するという『二重の否定性』を身にまとうこと―この「マラーノ性」は、精神の奥深く刻印される。マラーノの足跡をたどり、マラーノ精神の体現者、スピノザ、マン、カネッティを語る、壮大な精神史の試み。
第1章 ユダヤ人の不安
第2章 ドイツのマラーノ
第3章 カバラ主義者の故郷ヘローナ
第4章 グラナダ一四九二年
第5章 火刑都市セビリヤ
第6章 コルドバの猶太人街
第7章 トレドの死の影のなかで
第8章 ポルトガル・マラーノの行方
第9章 棘族の末裔スピノザ
第10章 あるマラーノ研究者の運命
第11章 トーマス・マンの「マラーノ的」魅力
第12章 エリアス・カネッティ―ふたつの追放の言語をもつ作家
定価:1,260円(税込)
整理番号:コ-5-1
刊行日: 1995/08/07
ページ数:480
第2次大戦に従軍したひとりの若者が、日本軍の俘虜となり、タイ・クワイ河流域の収容所に送られた。日本人による苛酷な「接待」。不信と憎悪と死臭にみちた生活。アジアを含む膨大な死者を生んだ泰緬鉄道建設の強制労働。収容所という20世紀に現出した地獄のなかで、しかし奇跡的に俘虜たちは、友愛の精神を通して人間性を取り戻す。本書はその、もうひとつの戦いを描いた人間記録である。
死の家
海上で
待っていた接待
死のかげの谷
クワイ河の奇跡
「なんじ我とともにいませばなり」
壁なき教会
クリスマス、一九四三年
チュンカイより、さらに
最後の旅路
谷をすぎゆく
…そして、その後
定価:1,427円(税込)
整理番号:コ-2-1
刊行日: 1995/02/07
ページ数:400
長野県南部、南アルプスの深く峻しい山々にとりかこまれた山里・遠山(とおやま)。今日では過疎に苦しむ村と人びとは、近代日本の激しい変貌のなかでどのように生き、どのような軌跡を描いてきたのか。ひとつの村・ひとつの特殊を多様な角度から徹底して探究しつつ、“個と共同性”のありようを追求する郷土史。
序章 「ムラ」への眼
第1章 遠山のシンボル
第2章 古層の遠山
第3章 ムラの“御一新”
第4章 山の開発
第5章 戦時下のムラ
第6章 ムラの敗戦
第7章 ムラの近代化
終章 「ムラの思想史」の理念と方法
例.「宮沢賢治」→「宮沢」
叢書ウニベルシタス、講談社学術文庫、中公文庫、岩波文庫、ちくま文庫、みすず書房、哲学、思想、人文科学、芸術、美術、算法少女、復刊、悲劇、古本、イーブックオフ、古本市場...