定価:1,260円(税込)
整理番号:ア-12-1
刊行日: 1996/10/09
ページ数:416
「新しい対象と問題は必然的に現存の理論的場のなかでは見えない。なぜなら、それらはこの理論の対象ではなく、禁止されたものであるからだ…。見えないものは、見えるものと同じく、もはや主体の視覚の機能ではない」。目的論的発展史観として解釈されていた旧来のマルクス理解にかわって、そのテクストの『構造論的』把握を試みた記念碑的著作―その初版(1965年)の完訳である。上巻は、アルチュセール、ランシエール、マシュレーの3論文を収録。古典経済学の「問い」の構造を問い直し、さらに若き日の著作における人間学的把握をこえて、『資本論』ではじめて達成された「科学的認識」を剔抉する。
序文『資本論』からマルクスの哲学へ
『一八四四年の草稿』から『資本論』までの批判の概念と経済学批判(『一八四四年の草稿』における経済学批判
『資本論』における批判と科学)
『資本論』の叙述過程について
定価:968円(税込)
整理番号:コ-9-1
刊行日: 1996/10/09
織田信長に仕え、『信長記』を残した太田牛一。その牛一が晩年、豊臣秀吉についても記録を残そうとした。それが『大かうさまぐんき』である。しかしこれは、秀吉の栄耀栄華の事績ではなく、甥秀次謀反の事件から説き起こされる。後継者に任じられながら、秀頼誕生ののち謀反の廉で処刑された秀次の悲劇―太閤秀吉晩年の汚点。秀次謀反の真偽のほどは?秀次のひととなりは?激動の戦国時代を辛くも生き抜いた老武者・牛一の、内面の苦悩が『大かうさまぐんき』の行間に表われていないか。室町ごころと国語史学・文章心理学からのアプローチによって、秀次の悲劇の真実に迫る。
1 『大かうさまぐんき』の翻刻(本書関連部分)
2 秀次事件を読む―『大かうさまぐんき』私注
3 『大かうさまぐんき』の今後の流れ
定価:1,173円(税込)
整理番号:コ-8-1
刊行日: 1996/10/09
子ども―この不器用で不可解、そして共にいきるいとおしい者たち。そんな彼らの存在について、大人との関係から考察してみよう。村瀬学、フロイト、エリクソン、アリエスなど、子ども論における業績を吟味し、また、自らの育児体験をふまえ、子どもの心性や心理を丹念にたどりながら、「子ども」というコードを読み解き、さらにエロス・労働・家族から死にいたるまでの総合的な人間論的視野をもつ力作評論。
第1章 絵本がさし示すもの
第2章 子どもはどのように了解されているか
第3章 エロス的存在としての人間
第4章 子ども期はどのように区分されるべきか
第5章 存在論的サンタクロース論
第6章 労働と子ども
第7章 養育の現象学
定価:1,050円(税込)
整理番号:エ-1-1
刊行日: 1996/09/10
ページ数:336
江戸は神田雉町の名主、斎藤幸雄・幸孝・幸成(月岑)が三代、三十有余年を費やして完成させた江戸の地誌。天保7年(1836)に出版されるや、たちまち「名所図会」ブームをまきおこし、多くの人々に親しまれた全7巻20冊の完全新訂版。江戸府内にとどまらず、西は日野、東は船橋、北は大宮、南は横浜まで、広大な地域の名所古跡・神社仏閣などを、詳細な現地調査と古典への博捜で記述した。それに付された長谷川雪旦の挿絵も興味が尽きない。本文庫では、漢詩・漢文は原則として読み下すなど、最も読みやすい本文提供をめざした。第1巻「巻之一」は、おもに、千代田区、中央区、港区などをとり扱う。
定価:1,478円(税込)
整理番号:フ-7-1
刊行日: 1996/09/10
売春の歴史とはすなわち、社会における女性の地位と性の変遷であり、男女の関係の歴史でもある。かつて体系的にとらえられることのなかったこの「売春」というテーマに光をあて、さまざまなジャンルの資料を豊富に駆使して浮き彫りにする、初の本格的な世界通史。図版多数掲載。本書では、第一章「売春の起源」から第八章「宗教改革と梅毒」までを収録。
売春の起源
古代オリエント―聖と俗
ギリシア人―ポルノグラフィーと性への怖れ
ローマ人―アンビヴァレントな感情
キリスト教、イスラム教と性道徳
インド、中国―もうひとつの見方
中世ヨーロッパ
宗教改革と梅毒
定価:1,223円(税込)
整理番号:オ-12-1
刊行日: 1996/08/08
『史記』の主要部分をなす戦国から秦・漢初期―この時代は、以降2000年にわたり存続した「原中国」の枠組みが形成された時期でもある。国政を陰で操った戦国の大商人・呂不韋、游侠の徒から皇帝に成り上がった劉邦、中国古代史を『史記』に活写した司馬談・遷親子など、天子のもと統一が進められるなかで、激変する運命と、権力と才能の葛藤する政治の現場を、したたかに生き抜いた人々の群像から、『史記』の時代を読み解く好著。
1 商人と法吏―秦帝国の二人の宰相
2 武人と謀臣―漢帝国の建設者群像
3 皇帝と官僚―劉氏三代
4 父と子―二人の太史令
定価:999円(税込)
整理番号:カ-9-1
刊行日: 1996/07/10
精神科医でありながら、無類の読書家で、自ら小説家でもある著者が、長編小説の本質を主題、文体、構成の方法論に見いだし、近代以降の日本の文学のなかから、よく知られかつ新しい分野を開いてきた長編小説十編を選び論じる。夏目漱石『明暗』(1917)から大江健三郎『燃えあがる緑の木』(1995)にいたるまで、作品とそれを綴った作家たちの肖像を通して、どのようにして日本の小説が成長し、成熟していったか、また、どのようにその表現を模索し、文体を醸成していったか、丹念にたどり、立証していく日本文学論の傑作。
愛の不可能性―夏目漱石『明暗』
女の孤独と聖性―有島武郎『或る女』
故郷と山と狂気―島崎藤村『夜明け前』
愛と超越の世界―志賀直哉『暗夜行路』
四季をめぐる円環の時間―谷崎潤一郎『細雪』
愛と戦争の構図―野上弥生子『迷路』
根源へ向う強靱な思惟―武田泰淳『富士』
暗黒と罪の意識―福永武彦『死の島』
人間の悲惨と栄光―大岡昇平『レイテ戦記』
魂の文学の誕生―大江健三郎『燃えあがる緑の木』
定価:999円(税込)
整理番号:オ-11-1
刊行日: 1996/07/10
イングランド北部の炭鉱町ウィガン。1936年、オーウェルがこの労働者の町を訪れたとき、不景気と失業がひろがっていた。炭鉱夫たちと生活をともにしながらオーウェルは、彼らの顔貌を独特な身体感覚のもと丹念に書きとめていく。ここは、中産階級下層の彼の階級意識が決定的に試される場所となった。たとえば、「労働者階級には悪臭がする」。社会主義への支持を表明しながら、越えられない階級間の「ガラスの間仕切り」。彼はこの違和感を、あえて率直に表明する。声高に語られるドグマではなく、人間らしい生活、すでに中産階級からは失われてしまった生活様式への愛が、未来を考えるひとつの指標として提示される。20世紀ルポルタージュの嚆矢。
ブルッカー夫妻の下宿屋
炭鉱の奥深く
炭鉱夫の生活実態
住宅状況
失業の本質
失業者の生活実態
工業地帯―北部対南部
階級の対立
階級意識の実態
階級意識―本質と矛盾
社会主義の問題点
私の提案
例.「宮沢賢治」→「宮沢」
叢書ウニベルシタス、講談社学術文庫、中公文庫、岩波文庫、ちくま文庫、みすず書房、哲学、思想、人文科学、芸術、美術、算法少女、復刊、悲劇、古本、イーブックオフ、古本市場...